出来損ないのバス停のナゾ
元SE、久しぶりにメカいじりに汗をかく
カスハラ対策と顧客第一主義は相反しない

出来損ないのバス停のナゾ

 愛知県からは遠い鹿児島県の話である。

 仙巌園前バス停の移設でもめているという話を2月ごろにネットニュースで見た。3か月ほど経過するがまだ解決には至っていないようだ。

国道上のポツンとバス停、国が再び移設勧告
移設を求める国の3度目勧告にも県協会「承諾できない」

画像は南日本新聞Web版より

 話の流れでは、仙巌園駅の整備にあたって線路沿いにあった左方向へ進む道路をつぶし、そのかわり左車線を整備した。左車線のさらに左にバスベイ(本線に切り欠きを設けたバス停用の区画)を整備してバス停を移設しようとしたところ事業者から物言いがついてバスベイが使われずにいる状態が続いている、ということのようだ。

 バス事業者が「官より民です」などといろいろと癖の強い鹿児島交通であることから、バス会社のわがままだという意見も強く、もう1社の事業者は移設に同意していることもあって話がややこしくなっている。しかし、私の見立てではこのバス停整備はバスの運行のことを何も考えていないできそこないと言わざるを得ず、日ごろの言動に問題のある鹿児島交通といえど今回の異議には理があると思う。もう1社も良いとは思っていないが国(国土交通省)に対し波風を立てたくないと思っているだけかもしれない。

 上記図によると、バスベイ設置により旅客乗降のために停車するバスに交通がせき止められることがなくなり、交通が円滑化する効果が期待できる。映像等によると左折車線は常態的に渋滞しているようだ。

 バスの視点ではどうだろうか。バスベイに入ってしまうと右側の車線は一般車が流れて、乗降が終わって右ウインカーをつけても停止してバスを入れてくれる一般車などいない。それは「乗合自動車発進妨害」というれっきとした道路交通法違反だが、警察も取り締まらないので野放し状態である。

 さらに、バスは2社ともこの先を左折ではなく直進する。よって左折車線を横断してさらに右の直進車線に到達しなければならない。直進車線は比較的流れているようだが、斜めを向いた状態ではミラーで直進車線の動向を確認するのはやや難しそうである。速度の速い直進車や視認しづらいバイクを見落とさないよう慎重な運転が必要だろう。

 ようするに、発車手順としては左折車線の車が途切れるか譲ってくれるかするのを待って進んで、さらに直進車線の車が途切れるのを待って合流ということになる。運転操作の難易度が上がり事故のリスクが高まるし、直進車線の交通状況次第では斜めになった状態で左折車線をふさぐこともあるだろう。

 それであれば、現状のままバスベイに入らないほうがましである。乗降の間左折車線をふさぐことになるが、発車時は右ウインカーを出して隣の直進レーンに移るだけで済む。運行遅延にもなりにくく運転手のストレスも相対的に低いことは間違いない。

 ヤフコメでは駐停車禁止標示をすればよいという意見が見られ、それであれば信号が赤に変わるのを待ちさえすれば発進できるようになるだろう。やらないよりやったほうがいいのはもちろんだが、それでも左折車線を横断することに伴うリスクは残るし、現状より運行が遅延する問題の完全解消ともならない。

 考えられる対策としては、交差点の先にバス停を移設してしまうことだ。旅客には不便になってしまうが、渋滞対策で左折車線を何とかしたいのならそうするほかないのではないか。

 今回はあくの強い鹿児島交通が物言いをしたので話が大きくなったが、このようなバスのことなど何も考えていない出来損ない設計の道路などいくらでもある。大半の事業者は道路管理者や警察との関係を損ねないよう文句を言わず受け入れて、そのしわ寄せは現場の運転手がかぶっているだけである。

 従来は行政がバス事業者に運行させてやっているという構図だったのが、最近はバスを運行していただいているという力関係に変わってきているので、行政に対し強く言う事業者は今後増えるかもしれない。

 気がかりなのが、報道で知る範囲において、本件を軟着陸させる仲介役となるべきバス協会がその役割を果たせていないように思える点だ。鹿児島交通は法的に争うと強硬姿勢であり、国も弱腰と受け止められたくはないだろうから妥協はしないのではないか(同じ国土交通省案件でも、道路は旧建設省でバス事業の許認可は旧運輸省なのであまり心配ないのかもしれない)。最悪なのが今のバス停の道路占用許可を取り消して、それに対抗して鹿児島交通がバス停を廃止してしまうことだ。そうなると旅客が不利益を被ることになる。うまく丸く収めることができる仲介役が現れることを期待したい。

 本件が今後どのように進展するか引き続き注目したい。

(2025.5.19) ホームページに戻る


元SE、久しぶりにメカいじりに汗をかく

 社労士を開業したといっても大したことはしていないのだからとパソコンへの投資は後回しにしていた。使っているパソコンは5年ほど前に購入したSurface GoというMicrosoft謹製の当時確か6万円ぐらいだったタブレットPCである。Microsoftは昔からソフトウェアの評価はいまいちな一方ハードウェアメーカーとしては良メーカーだよなと思いながら使ってきたが、こちらの製品はWindows11に対応しないのでそろそろ新しいものをと考えていた。

 Surfaceタブレットにも親しんでいたので次も同じシリーズをと考えていたが、いまのタブレットPCのラインナップには数万円で買える廉価版のラインナップはなく結構なお値段がする。それを見てまた先送りをしていたが、年が変わって10月にはWindows10のサポートが切れてしまうというタイミングで、Microsoftが若干安いセールを開催しているのを知った。おりしもトランプ関税で情勢が不安定となって、今後は高くはなっても安くなることはないだろうとようやく踏ん切りがついた次第である。

 といっても、オンラインストアでポチるにはあまりにも高いので、実物を見るべくヨドバシカメラに行った。Microsoftのオンラインストアで購入してもヨドバシカメラで購入しても値段自体は同じだそうである(独禁法に触れないか気になるところではある)が、ヨドバシポイントは10%つくのでヨドバシで買ったほうがおトクらしいことがわかった。ただ、店員氏が気を付けるようにと言われたのが、SnapdragonというIntelではないプロセッサを積んでいるため動かないソフトがあるということで、よーくよーく確認してから買ってくださいということである。売りっぱなしではない商売姿勢に非常に感心したが、あの口ぶりだと結構クレームが多いのかもしれない。

 そのため、いったんは買わずに帰って調べたが、Snapdragon環境で動くARM版Windowsもエミュレーターを積んでいるのでだいたいのソフトは大丈夫、ただしハードウェアがらみだと結構怪しいということが分かった。買ってすらいない社労士業務ソフトが動くかを個別に調べるまではしなかったがたぶん大丈夫だろう。プリンタとスキャナが動かないとかなり困るが、メーカーのWebサイトには明快な答えがなかったもののUSB接続ではなくネットワーク接続なのでおそらく大丈夫だろう。ゲームアプリが動かないという報告が多いがゲームはやらない。というわけで全体として問題ないだろうと判断した。正直、また機種選定からやり直しが面倒だという思いが大きい。

 数日後に出直して、無事ご成約となった。価格は少額資産の30万円にギリギリ収まるぐらいである。

 手にすると、Surface Goより一回り大きく、持つと結構重いが、動作はサクサクで画面も非常にキレイで高いだけあるなという感想である。

 互換性についてはいろいろ試したが、動かなかったのは外付けブルーレイプレイヤーぐらいであった。社労士業については、e-Govと届出書作成アプリは問題なく動作するのでとりあえずOKである。ブルーレイプレイヤーについてはARM版で動くプレイヤーを買えばいいと考えネットで検索したが、動くと明言している製品が見つからず、みたびヨドバシカメラに行った。

 結論としては、ARM版で動くブルーレイプレイヤーはあるが、再生ソフトが動いて映像ソフトが視聴できるかがよくわからないという。まあ、いまやネット配信が主流で「円盤」を再生する機会は激減したので、なくても困らないかと先送りすることにした。

 続いて旧マシンのSurface GoをWindows11にアップデートする。標準のインストールメディアではハードウェアチェックに引っかかってアップデートはできないが、セットアッププログラムを置き換えることでハードウェアチェックをスキップして無理やりアップデートすることが可能である。ただし公式ではなく環境を吹く飛ばす恐れがあるため、メイン機に対して行うのは避けたほうがいいだろう。

 結果としてアップデートはできたが、非推奨環境だけあって動作はかなり緩慢である。ただし、これで10月以後も使用できるので延命にはなる。

 続いてウイルス対策ソフトとしてNorton360を購入しインストールした。いまのWindowsは標準でウイルス対策機能がついているので必ずしも要らないのだが、今後事業で使うにあたってウイルス対策ソフトを入れていないのはどうなのかと思って導入した。

 ライセンスが5つついていたので、手元にあるAndroidスマホ2台にも入れたが、これが良くなかった。ものすごい勢いでバッテリーが減るようになってしまったので慌ててアンインストールしたが、1台は症状が解消しない。ほとんど操作していないのに夕方には残量20%は非常に困るので、バックアップを取得したうえでリセットした。

 リセット後は電池消耗の問題は直ったが、約10年分のGoogle Mapsタイムラインのデータがうまく復元できず、アプリの動きも不安定である。当初はバックアップデータの取得に問題があったのかと思っていたが、調べるとアプリの不具合ということで、コチラのページを参照しながらいったんGoogleマップアプリを無効にして戻すを行ったところ解消した。

 今までの旅の記録などが消失したとなると心穏やかではなかったので、ほっと一安心である。

 最近はデジタル機器をいじる機会は減っているが、ここ一か月は上記のようにいろいろいじっており、10年前にSEをやっていたころのように、こういうのをいじっているときはなんやかんや言って楽しいというのは変わっていないなと再確認した次第である。

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カスハラ対策と顧客第一主義は相反しない

 本業の繁忙期を何とか乗り切って、半沢直樹ブルーレイボックス(2012年版および2020年版、取得価格およそ6万円)を久しぶりに一気見した。

 本作でたびたび出てくるキーワードに「顧客第一主義」がある。中野渡頭取が掲げる東京第一銀行のスローガンだが、今になってこの言葉の深みがようやくわかるようになってきた。

 「顧客第一主義」とか「お客様第一」という言葉はサービス従事者を苦しめる呪いの言葉でもあるのだが、客のために働くというのは必ずしも客のわがままに応じるということではない。客のわがままに付き合わされるのにうんざりし、客のために働くことをやめてしまう従業者が生じる事態は誰のためにもならない。

 客のためにならないと考えられるときは要求を拒むことも顧客第一の考えに基づくならおかしなことではない。客のために厳しいことを言う場面が同作ではしばしば登場する。銀行は金を貸すのが商売だが、客のためを思ってあえて融資しないということもある(貸さぬも親切)。半沢は顧客側にとって非常に厳しいことを言う担当者であるが、自社のためにベストを尽くそうとしてくれていることがわかるから、担当者を変えてくれということにはならないのではないか。

 カスハラ防止条例が一部自治体で施行されカスハラ対策がホットになっている。来年にはカスハラ対策義務が盛り込まれた労働施策総合推進法が施行される見通しだ。言葉の暴力など犯罪に該当しうるものは別として、カスハラ対策で難しいのがまっとうな苦情なのかカスハラとして取り扱うべき不当な苦情なのか線引きが難しいということではないか。事業主としてはお客の言うことはもっともだと思っても、従業員がカスハラだあいつを出禁にしろなどと騒ぐという事案も出てくるだろう。

 そういうところで立ち返るべきは、上記の「顧客第一」という考え方だろう。その苦情にどのように応じるのがその顧客のためになるか、またはほかの顧客のためになるかという観点で検討することが一つの解決法になるのではないか。

 なお、客のわがままに応じることが客のためになるという考えを持っている経営者がいるならば、それを改める必要があることは言うまでもないことである。

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